この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第8章 刺客
「さすが! リューイ」
微笑むルシアの背後で、序盤に倒した敵が起き上がってルシアの背後を狙う。
敵将がニヤリと笑ったのを怪訝そうに見ていたリューイはハッとして、ルシアに目をやる。
「ルシア! 危ない!」
突然の呼び捨ての警告にハッとしたルシアは、背後からの攻撃に気が付いて身をかわし、合わせて敵にも一太刀を浴びせる。
だが…
「痛っ……」
かわしきれなかった敵の攻撃で、剣を持っている手とは逆の手に傷を負って顔を歪ませた。
「──────っ…!!」
「よそ見はよくねぇなぁ」
ルシアに気を取られ隙を見せるリューイの剣を、敵将は跳ね返す。
カンと音を立てて、リューイの大剣が遠くへ飛ぶ。
そして、リューイの首を腕で締め付けるようにして掴み逆に剣を突きつけた。
「残念だなぁ。やはりお前の弱点は姫様か」
「っ……」
「リューイ!!!!」
振り返ったルシアは腕を抑えながら、その状況に目を見開く。
「姫っ……私に構わず逃げてください」
「そんなっ……」
再び蘇る以前の場面。
急に勢いを失った2人の様子に、敵将は高らかに笑う。
「姫、あなたの弱点も、こいつですね」
「やめてっ……!」
グッと剣がさらにリューイの喉元に近付く。
為す術もなく、その場に留まってルシアは瞳を揺らす。
腕が痛んで、思ったよりも深い傷口からの血がポタポタと地面に染み込んでいく。
「姫。交渉しましょう」
「っ……」
「まずは、剣を捨ててください」
「っ……姫! お願いです! 私を置いてお逃げください!」
リューイの叫び声を無視して、ルシアは言われた通りに持っていた剣を投げ捨てた。