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† 姫と剣 †
第8章 刺客
なかなか隙がつけない。
「女みたいだと思ってバカにしていたが…お前もなかなかやるようだな」
「…………っ」
「だがここまでか??」
少し息が切れてきたところで、ロイは背後からの気配にハッと息を飲んだ。
「ロイ、よけろ!」
「────────」
突然聞こえてきた言葉通り、ロイはすばやく身を引いて屈む。
「なっ…!!!!」
途端に大量の矢が上から降ってきて、敵の体に一気に刺さる。
「グッ」と声を漏らした敵は、ゲホっとむせたのと同時に血を吐き出すと、そのまま仰向けになって勢いよく倒れ込んだ。
終わった…─────
ふぅ、と息をついてロイが立ち上がると、背後から馬の気配がして振り返った。
「ロイ、無事か」
「兄上……」
姿を現したイーサと、アノア兵。
そして、さらに脇から現れたウィルは、「いよっ」と声を上げながら馬から飛び降りると、ロイの顔を見て、珍しく驚いたように目を見開いた。
「ロイ、頬…」
「……ああ、かすり傷です」
手の甲で先ほど浅く切りつけられた傷を拭う。
「やったの、あいつだよね?」
ロイの背後で、何本もの矢が刺さった敵将が仰向けながらはぁはぁと息をしている。
ウィルは真顔でその兵士の前に近づくと、静かに剣を抜いた。
「ウィルお兄様…やつはもう────」
「───── 何ロイの顔に傷、付けてんの」
そのまま、ウィルは心臓めがけて剣を振り下ろし、敵将は完全に生き絶える。
それを確認すると、ウィルは剣を引き抜いて、剣を振って血を払いおとすと、くるりと振り返って、ロイとイーサに笑みを見せた。