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† 姫と剣 †
第8章 刺客
適当でいて、的を得た考察をしている。
「言葉も…」
「言葉?」
リューイの発言をロイがオウム返しする。
「あぁ。あのアクセントは、ローハーグ人だ」
「なるほどね!」
ウィルが感心する中で、イーサは「つまり…」と今まで話したことをまとめる。
「ローハーグ内部に、ルシア姫の命を狙う勢力がある、ということか」
「そういうことになります」
「ちょっと、騎士さん、イーサにだけ敬語ってどういうことよ」
「ウィル、今どうでもいいことを言うな」
イーサに止められて、ウィルは唇を尖らせる。
どこまでも呑気だ。
そんなウィルを無視して話は進む。
「心当たりはあるのか」
ロイの問い掛けに、リューイは間を空けて「いや」と返事をする。
「そもそもルシア姫の命を狙う意味が分からんな……」
「王族なら、狙われるのが常だ」
イーサとロイの言葉にリューイも押し黙る。
推察の余地がない。
何より手がかりが少なすぎるのだ。
「ウィルお兄様が、あいつを生かしておけば……拷問でも何でもして吐かせることができたかもしれなかったが……」
「何言ってんのー。トドメを刺さなくてもあいつは兄上の容赦ない矢の攻撃で息絶えてたって」
「………分かっていたのなら尚更あの一刺しは必要なかったですね」
「それはしょうがないよ。むかついちゃったんだもん」
ペロリと舌を出すウィルに、ロイは頭を掻く。
そんな中でルシアが「んん」と声を漏らして目を覚まそうとしているのを見て、すかさずリューイは組んでいた腕を解いて駆け寄った。