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† 姫と剣 †
第8章 刺客
ルシアが瞼を押し開けると、マヤとアマンダが顔を覗いた。
歪む視界の中で、2人を捉えて、ルシアは状況を把握しようと瞬きをする。
随分と幼い頃の夢を見た。
天井を見上げて、今自分が身を横たえている場所がローハーグではない事を確認する。
段々と痛む左腕。
ここは……アノアだ。
そして────…
「姫っ………」
聞こえてきた低い声に、ルシアは胸を弾ませて顔を向ける。
心配そうにリューイが顔を覗いている。
しばらくその顔をじっと見つめたルシアは、先の襲撃のことを思い出して、体を懸命に起こそうとベッドに腕をついた。
「私っ……」
「姫、急に起き上がらない方が…」
「痛っ……」
案の定、ズキと鋭く腕が痛んで顔を歪ませたルシアに、リューイが慌てふためく。
「傷が開いてしまいますので、どうか安静に」
リューイに助けられながらルシアが再度身を横たえる。
そして、はぁと息を吐くと、頭もズキズキと痛むのが分かった。
「どれくらい……眠っていたの…?」
「半日ほどです」
「そう…」と返事をしたルシアは心配そうに見下ろすリューイの手をギュッと握る。
「リューイは……?」
「え……?」
「どこも、怪我してない……?」
血色の悪い顔。
そんな様子で未だに他人の心配をしているルシアに少し呆れながら、手を握り返した。