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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
はっきりと言わずとも、言いたいことが伝わっている。
ルシアはそれを感じながら、ロイを見て微笑む。
「どうするつもりですか?」
「そうですねぇ。一生独身を貫きます」
あっけらかんと答えたルシアに、ロイはぷっと笑う。
そして、ルシアの背の向こうの少し離れたところでリューイがこちらを見ているのが見えた。
「そうですか。当の本人はこんな話をしているだなんて、夢にも思っていないでしょうな」
「えっ」と声を上げたルシアはくるりと振り返ってリューイの姿を見る。
それに反応したリューイも、怪訝そうに首を傾げている。
その姿を見て、ルシアもプッと笑うと、ロイに向き直る。
「本人に言うつもりはないです。けど、気持ちに嘘はつけないですから。」
「そんな風に姫から想ってもらえて、本当に奴が羨ましいですよ」
「ご、ごめんなさい、無神経でした」
焦るルシアに、ロイは笑う。
『羨ましい』という感情すら、未知のものだった。
ルシアといるとそういう未知なものに出会えるのだが────…