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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
「…姫……」
「……………」
「今の話は───」
「───本当よ」
向き直ったルシアは力強くリューイを見据える。
それと共に、マヤが再び「あぁ!」と叫んだ。
「指輪が……なくなっている…」
「お返ししたの。当然でしょ?」
「そんな……じゃあ……本当なんですね…」
「嘘なんか吐かないわよ、私」
ガクと肩を落とすマヤの側にアマンダも駆け寄る。
そんな2人を見て、やれやれと肩をすくめるルシアをリューイはじっと見つめたまま。
「なぜ…ですか」
リューイの問い掛けに、ルシアはトクンと胸を鳴らす。
あなたしか愛せないから。
あなたと結ばれないのなら、誰とも結ばれる気はないから。
そんな言葉がルシアの頭の中をぐるぐるとする。
「…………よく考えて、それで…やっぱり自分の気持ちに正直になろうって決めたの」
「……そう…ですか」
「ロイ王子はとてもいい人だし、素敵な方。だけど……」
意味ありげに、2人の視線が絡む。
「やっぱり結婚って…好きって思える人と…するべきでしょ?」
「────────…」
───────────────── 私やっぱり、あなたが好き
数日前のルシアの言葉を思い出して、自分の心臓がうるさく鳴っているのをリューイは感じた。
驕った気持ちは持ってはいけない。
そう自制しながら、リューイは再び扉に向かった。