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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
何も言わずに扉に向かうリューイをルシアは切なく見つめる。
「リューイ!」
そして力強くリューイの名を呼ぶと、リューイは少し伏し目がちに振り返った。
「帰国したら……あなたのお父様にお会いしたいのだけど」
「父に……ですか?」
「ええ」
過去の話を聞いた今、やはりもっと昔のことが知りたい。
知らぬ過去に対峙する怖さもありながらも、やはり探究心は隠せない。
「お母様のこと、もっと知りたいの」
至極当然な流れに、リューイは少し戸惑いながらも、コクリと頷く。
自分には、一生言うまいと思っていた過去をルシアに話してしまった責任がある。
「分かりました」
リューイの言葉を聞いて、ルシアの顔がパァと明るくなる。
「ありがとう!」
嬉しそうなルシアとは裏腹、リューイは少しだけ不安そうにしながら部屋の外へと出ていった。