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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
散々掻き乱してきたウィルをロイはもちろんよく思っていない。
だが、きっとウィルはウィルなりの方法で兄として弟である自分を慰めてくれようとしているのだろう…。
昔から、ひょうきんで掴みどころのない兄。
やたらちょっかいを出してきては、ロイが少しでも何かに興味を示せば、それをすぐに横からふんだくっていった。
兄ながら、変わった人間だ、などと幼少期からロイは思っていた。
ものに執着はないロイは、逆に執着して見えるウィルの行動が理解できなかったのだが……
「ロイ、女はいくらでもいる。そんなに落ち込まなくたって大丈夫だよ」
「……──────」
「俺もイーサもいるしさ」
ウィルがニコリと笑うと、イーサがフッと笑う。
「昔から、お前は本当にロイが好きだな」
イーサの言葉に、ロイが「はぁ!?」と大声を上げる。
「嫌い、の間違いではないですか! 生まれてこのかた、ウィルお兄様には嫌がらせを受けた記憶しかありません」
「バカを言うな。お前がいつまでもスカしてばかりいるから、ウィルは構って欲しかっただけだ」
再度、「はぁ?」とロイは声を上げる。
「ウィルお兄様、イーサお兄様が変なことを言っていますが」
「別に兄上は変じゃないよ。ずっと言ってるじゃん。俺は、ロイのこと、大好きだよって」
奇妙な笑みを見せるウィルに、ロイはゾゾゾと背筋が凍るのを感じた。
くだらない……
「……もっと普通に愛情表現してくださいませんか…気味が悪いです」
はぁ、とロイがため息を吐くと、イーサとウィルはフッと笑ってロイの肩に手を乗せていた。