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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
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長い旅の末、もうすぐに迫った祖国の姿に、リューイは小さく息を吐く。
そして、ルシアの様子を見ようと馬車を眺めると、ルシアも窓から顔を出してローハーグを見つめていた。
この一週間、色々あったが、一旦は無事で帰れて良かった…
ルシアのことを眺めながら反芻していると、ルシアもリューイに顔を向けた。
何やら話したそうなその表情に、リューイは馬を馬車のそばに寄せる。
「ようやく、着きましたね」
「ええ」
「腕は…大丈夫ですか?」
この前の傷を気遣うリューイに、ルシアは怪我をした腕を掲げる。
「うん、平気よ!」
その姿に、リューイは再び安堵の息を漏らした。
「リューイ」
「ええ」
「…約束、忘れないでね」
ルシアの言っている約束とは、リューイの父親に合わせるというものだ。
「はい」
リューイが返事をすると、ルシアはゆるく微笑んだ。
そんなルシアの様子に少し不安がよぎる。
自分の過去に興味があるのは当たり前のこと。
だから、自分が、ルシアに過去の話をした時から、こうなることは分かっていたことだ。
だが、これからさらにルシアが無理をするような気がしてならない。