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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
広間の扉をあけて、ルシアは頭を下げる。
奥の大きな椅子に座っている父を見て、深く頭を下げる。
「ただいま戻りました」
「うむ」と返事をした王は、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
そしてルシアはさらに王に近付いた。
「1週間の予定だったはずだが…。アノアが気に入ったか」
そう言いながら、ルシアの左腕に巻かれた包帯を目にして、王はハッと息を飲んだ。
「その腕はっ…」
「お父様、人払いをお願いいたします」
「人払い…?」
「ええ、お父様と私と、そしてリューイだけにしてください」
そう言いながら、ルシアは振り返って、少し不安げなマヤとアマンダを見つめた。
「ごめんなさい、少し待ってて」
2人はこくりと頷いて、他の使いと共に部屋を後にする。
「……して、その傷はどうした」
心配からか、顔色を悪くしている父に、ルシアは「ごめんなさい」と小さく呟く。
「私がついていながら申し訳ありません」
耐えきれず、ルシアの背後でそう言いながらリューイが跪くのを見て、ルシアがため息を吐く。
「もちろん…リューイのせいではありません。このローハーグの内部に…私の命を狙う者がいます」
パッと顔を上げて父を力強く見つめる。
その言葉に、王はハッと息を飲んだ。