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† 姫と剣 †
第1章 お忍び
リューイの家が見えてきた頃、ルシアは茂みの側で息を整えながら、グレンの様子を見た。
やはり、リューイの家を見てニヤリと笑ったグレンは、首の関節を鳴らす。
そして、棍棒を掴む手をさらに強めた。
「待ちなさい」
茂みからルシアが飛び出すと、グレンはん?と声を上げてルシアの方を見た。
そして見覚えがあるその姿に、軽く目を見開く。
「お前………あの時の」
「街から出たはずのあなたが、こんなところで何をしているの」
あの時と同様、ルシアは怯むことなく目の前の大男を睨みつける。
「決まってんだろ?? リューイを…ぶちのめしに来たんだよ!!」
「……そんなことっ…させない!」
ガハガハと笑ったグレンは、ルシアのもとへと近付く。
警戒したルシアは、腰に携える剣を掴んだ。
「なんだ? お前、リューイの女かぁ…?」
「…………………」
「学ばねぇなぁ。あの時だって俺にやられそうになってたっていうのに」
「あの時とは違うわ」
ルシアの言葉に、グレンは大袈裟に目を見開いて、へぇ、と言った。
「どう違うってんだよ!!!」
棍棒が勢いよく振り下ろされる瞬間を見て、ルシアは目を細めると、片足で踏ん張って即座にその攻撃を避けた。