この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第10章 覚悟
天からの光がまばゆい。
リューイはルシアをじっと見つめた後、頭を下げる。
「お約束通り……父を連れてまいりました」
リューイの背後から、1人の男が現れる。
リューイと同じ亜麻色の短い髪。
そして、少し蓄えた髭に、鋭い眼光。
「リューイの父、アース=ランドルトと申します」
「……わざわざ赴いてくださり…ありがとうございます」
頭を下げたリューイの父は、あまりに聞き覚えのある声にハッとして、顔を上げた。
そして、花畑の中のルシアの姿に、アースは大きく目を見開く。
ちょうど風が吹いて、ルシアの長い髪が靡いた。
陽の光を受けて、金色の髪がいつも以上に輝く。
深緑の瞳に、白い肌────────
「エステル様……っ…」
「え……?」
アースの記憶の中の王妃、つまりはルシアの母と、ルシアがあまりにも瓜二つであることに驚いて、アースはその場で膝をついて涙を流す。
アースに駆け寄ったルシアも、視線を合わせるようにしゃがみ込む。
「すみません…っ。あまりにもエステル様に…似ていらっしゃったので」
どことなく、リューイに似たその面持ち……
「……ルシア様ですね」
「ええ」
「なんと…ご立派に…」
再び目に涙を溜めるアースに、リューイも同じようにしゃがみ込んだ。