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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
「お二人ともやめてください」
ルシアが声をかけると2人は同時に顔を上げた。
「責めたくて…お呼びしたわけじゃありません」
ルシアがアースを呼んだのは、母親の話を聞きたかったから、と……
「リューイから話を聞いて、少し不思議に思ったことがありまして…」
不思議に思ったこと。
予想外の質問にリューイとアースは顔を顰める。
「森に入った私とリューイを助けに、お母様が来てくれたと聞いたのですが、その時、あなたは一緒にいなかったのかしら」
冷静な指摘にリューイが少し驚いたように目を見開いた。
「確かに…そう、ですね」
この前話していた時にまさかそこまで考えていたとは…。
リューイ自身も、当時はパニックに陥っていて、そんなことまで考えられていなかった。
だが、確かにルシアの言う通り。
父は王妃の護衛の騎士だったのだ。
なのに、あの時はそばにいなかったのは…一体───…
「確か…あの時は、突然私だけが王に呼ばれたのです。エステル様は、シャロン様を寝かしつけたところで…」
頭をかかえるアースは懸命に思い出そうとしている。
「そう…そうです。結局、王はその時ご公務で、不在で───」
「え?」とルシアが声を返す。
「でも、王に呼ばれたって…」
「……そうだったのですが…何かの間違いだったみたいで…」
「……………………」
「それで、エステル様の元に戻ったのですが、エステル様はいらっしゃらず…」