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† 姫と剣 †
第10章 覚悟
「そうしているうちに、リューイが走って私を呼んできて…」
話が繋がった。
だが、聞いていて少し違和感がある。
その日の出来事は事故だったはず。
なのに、何かが不自然で…───
「あとは…きっとリューイから聞いたままのお話、ね」
責任を感じてか、再び項垂れるアースをルシアは切なく見つめる。
「リューイ…」
「はい」
「私と森に行く時、誰かにそのことを言った…?」
ルシアの問いに、リューイは首を振る。
「まさか…。言っていたら止められています」
「そうよね」
そう返事をした後、ルシアは顎に手を当てて「う〜ん」と唸る。
「ではなぜお母様は…私たちを助けに来たのかしら…」
「それは…─────」
確かにおかしい。
次々と浮かぶ疑問に、胸がざわつく。
意を決したルシアは、覚悟の光をその深緑の瞳に宿す。
そして、腰に携えた剣のグリップをぎゅっと掴んだ。
「ここで考えていても仕方ないわね」
「姫……」
「リューイ」
「はい」とリューイは返事をした。