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† 姫と剣 †
第11章 森の奥
そして、光の下で剣を構えるリューイの前で、狼たちは顔を伏せると、そのまま方向転換し、大人しく森の奥へと消えていった。
「ひとまず大丈夫そうね…」
ホッと息を吐くルシアを見上げながら、リューイは剣を背中に収める。
「姫のお蔭です……」
「………図鑑で見たことあっただけよ」
少し得意げに笑ったルシアは、「痛っ」と言いながら顔を歪ませる。
体を支えている左手が、この前の傷で痛む。
そして、そのはずみで体重を支えていた枝が折れて、ルシアはそのまま下へと落ちていった。
「ルシアっ……!」
慌てたリューイがその下でルシアを抱き抱える。
ギュッと目を瞑っていたルシアは、目を開くとリューイが心配そうに顔を覗き込んでいるのに、顔を紅らめて目を伏せた。
「詰めが甘いわね……ごめんなさい」
「…………いえ、こちらこそ、ありがとうございます」
「………………」
「今度こそ守ると言いながら、またあなたに守られてしまいました」
じっと見つめられているのを感じながら、ルシアは恥ずかしくて顔を上げられない。
ふるふると首を振ったあと、間が開くと、「あ、あのっ…!」とルシアが声を上げた。
「お、重いでしょっ……もう、大丈夫だから」
いつまでもお姫様抱っこで抱えられている状況に、思わずそういうとリューイもそれに気付いた様子でゆっくりとルシアを下ろした。