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† 姫と剣 †
第11章 森の奥
「重くはない、ですよ」
「…………そんな、気を遣わなくていいから」
恥ずかしさから、そのまま奥へ進もうとするルシアの手をリューイは掴む。
「な、なに……?」
「………腕は、大丈夫ですか」
「………えぇ。大丈夫」
依然としてリューイは心配そうな顔付きをしている。
実際、リューイは、引き返したほうが良いか迷っていた。
また獣がいつ出てくるか分からない。
リューイの記憶ではもうすぐ、昔魔女が出たあたりに着くが…─────
「諦めない、から」
リューイの心を読み取ったように、ルシアが反論する。
それに、フッと笑ったリューイは、「はい」と返事をしてルシアと共にさらに奥へと足を進めた。
ずっと濃く立ち込めていた霧がだんだんと晴れてきた。
逆に葉が深く生い茂り、外からの光が入ってこない分暗さが増す。
ここでまた狼が出たら……
警戒しながら、2人が歩みを進めていくと、リューイは見覚えのある場所に目を見開いた。
暗い森の中の、少し開けた場所。
2.3本、切り崩された丸太が朽ちたままその場に転がる。
先ほどよりもジメジメとしていて不快な空気。
そして、
以前、ルシアの母、エステルが生き絶えた場所を見て、リューイは思わずしゃがみ込んで地面に手を触れた。