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† 姫と剣 †
第11章 森の奥
今でも、まるで昨日のことのように鮮明に思い出せる。
─────────────── 娘を助けて欲しくば……命を…
─────────────── お前をかばってこうなったか
─────────────── すべて……お前のせい
耳に残るあの嫌な声。
「リューイ……もしかして……ここなの?」
「………はい」
間違いない。
顔を上げたリューイは立ち上がって剣を掴むと辺りを見回す。
同じようにルシアも周りを見渡し、魔女と思われる人物を探していたその時。
パキッと枝の音が響いて、ルシアは勢いよく振り返る。
そして、反射的に剣を振り上げると目に入った見慣れた姿に動きを止めた。
「っ………ま、マリー叔母さま」
ローハーグ王の腹違いの妹で、ルシアの叔母に当たるマリーの姿に、リューイも片眉を上げた。
「ダメじゃないのルシア……。この森には入ってはダメって、そう教わったでしょう……?」
元々得意ではない叔母。
この森の雰囲気も相まってか、余計に気味が悪くルシアは背筋が凍るのを感じた。
「叔母さまこそっ……な、なぜここに…」
冷静になろうと思えば思うほど、体が震える。
ニヤリと笑ったマリーは、今度はルシアからリューイに視線を移した。