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† 姫と剣 †
第11章 森の奥
「あなたも懲りないわねぇ」
「…………………」
「あなたのせいで、今も昔も……中々ルシアが殺せなくて困っているの」
突然の言葉に、ルシアとリューイはハッと息を飲む。
ルシアの命を狙う内部の勢力……
よく考えれば、先の襲撃にはかなりのローハーグ兵が費やされていた。
それにどの兵士も中々の手練れだった。
あそこまでの兵士を動かせるのは、それなりの力があるもの。
例えば……王族、だ。
「なぜっ……叔母さまが私をっ……」
「日陰はもう飽きたの。あなたは正妻の……エステルの子だものね。私の気持ちなんかきっと分からないわ」
「まさか……王位を狙って……」
リューイの言葉に、マリーは耳障りな高い声で笑う。
マリーは現国王の5年後に生まれた。
世継ぎの次に生まれた妾の子など誰も気にかけない。
何をするのでも、兄とはグレードも対応も異なる。
差別はないと言いながら、マリーはあからさまな父の愛情の違いを感じていた。
程なくして母が死に…前王である父も死に……
現ローハーグ王である兄の結婚、そして2人の子どもたち……
同じ王女という身分でありながら、ルシアが周りから受けている愛情を目にして、長年溜め込んでいた気持ちがマリーの中で弾けた。
生い立ちを憎み、
兄と自分を比べ……
そして、姪であるルシアと自分を比べ……