この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第11章 森の奥
ウェーブのかかった長い黒髪。
黒い服に身を包んだその女の姿にリューイは身を固めた。
「そこの騎士は……あの時の少年か……」
ゆっくりとした話し方。
見た目は御伽噺で見るような老女のような姿とは異なる。
齢はおそらくすぐそばにいるマリーと同じ頃。
紛れもなく、あの時の魔女だと、リューイは確信しながらルシアを守るように肩を強く抱いた。
「……と、すれば、その娘は……」
ゆっくりと魔女はルシアに視線を移す。
それを感じてルシアも顔を上げた。
これが……
魔女───────…
やはりルシアも、御伽噺に見る魔女とのギャップに驚いていた。
妖しさはあるものの、どこか儚げで、
そしてどこか寂しさを感じるのは何故なのか────
「私の……っ…私の記憶を……返してください」
「ほぉ」と小さく呟いた魔女は、健気なルシアの姿とその脇のリューイの姿に、少しだけ顔を歪ませた。
そして、両手を掲げてブツブツと唱えるとその手のひらに小さな光の玉が現れた。
「─────っ……」
突然の現象に、ルシアとリューイは目を見開く。
これが、魔女の魔法……?
いや、魔術………?なのだろうか……
光の玉は魔女の手の中でふわふわと浮きながら、緑色に光を放って輝く。