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† 姫と剣 †
第11章 森の奥
それと同時に……
ルシアに宿るローハーグ王の、アルノの面影に、魔女に迷いが生まれる。
「っ……くっ………」
「や…めて………っ」
首を絞められているかのような感覚に苦しむルシアとリューイの背後から、わらわらの人が現れる。
ハッと息を飲んだ魔女はルシアとリューイに掛けていた魔術を中断して、少し後ずさった。
「これはっ………」
同じように動揺を見せるマリーの前に、ずらずらと兵士が並ぶ。
「マリー……! 何故お前がここに……」
「お兄様…っ……⁉︎」
突然現れたローハーグ王の姿に、ルシアとリューイは咳き込みながら見上げる。
「おとう…さまっ……」
「すまぬ……やはり心配でな。だが、来てよかった」
同じく、ローハーグ王の隣から、リューイの父アースが現れてリューイの側による。
「リューイっ……大丈夫か」
「……は…い」
2人の無事を確認してホッと息を吐いたローハーグ王は、顔を上げると、何やら顔を隠そうとしている黒い服の女を見つめる。
「お前が、この森に住むという……魔女か」
「………………………」
黙った魔女は、そのまま背を向けて森の奥へと進んでいった。