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† 姫と剣 †
第11章 森の奥

「…っ……こうなればお兄様も含め皆殺しにしてしまえ!」
「マリー! お前っ……」
ギリとローハーグ王が奥歯を噛む。
ハハハと笑うマリーの姿を見ながら、ルシアは唇を噛み締めた。
本当に魔女なのは、マリーの方なのではとさえ、思えてくる。
「どうした! 早く殺せ!」
「……………」
マリーの指示に魔女はゆっくりと振り返ってマリーを見つめた。
鋭い、魔女の視線にマリーは自然とうっ…と声を詰まらせる。
「魔女はその一生のうちに……命を操ってよい回数が3回と決められている」
「っ………な、に」
3回。
すでに10年近く前、ルシアの母エステルの命を奪い、ルシアを救った。
とすれば、あと殺せるのは……2人──────
「な、ならばっ……お兄様とルシアを…!」
焦りながら、マリーはチラチラと辺りを見る。
マリーの発言にリューイとその父アースが怒っている。
「い、いや! より手強いリューイの方をまず……いやっ…でもやはり…っ」
混乱を見せるマリーに、魔女はフッと笑う。
「もうどの2人にするかは私が決めた」
「な、何を勝手なことをっ……リサ!!! いい加減に───」
「──── もうお前の指示は聞かない」
その場が瞬時に凍てつく。
「なにをっ……お前にその力を与えるよう手助けしたのは私だというのに……っ」
「…………違う…お前は………自分の手を汚したくなかっただけの、卑怯者だ!」
マリーがひぃっと声を上げたのも束の間、魔女は両手をマリーに向ける。
「マリー!!!!」
「叔母さまっ……!」
ローハーグ王とルシアの叫びも虚しく、瞬時にマリーの体から正気が失せたのが分かった。

