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† 姫と剣 †
第12章 恋慕
翌日。
いつものように宮殿中庭にて。
リューイは木の枝を拾った。
そして、それを剣に見立てると、すぅと息を吸って構える。
あと少しで、父による剣の訓練が始まる。
それを見越して、枝を振り下ろしたところで、背後から「リューイ!」と声がした。
振り返れば、いつも通りルシアがこちらを見て微笑んでいる。
リューイは少し恥ずかしくなって持っていた木の枝を手放した。
「もうやめちゃうの……? かっこよかったのに」
「……………」
「剣の特訓、始めたの……?」
「いや……もう少しで始めるってお父様は言っていたけど」
「そうなんだ」と答えながら、ルシアはその場に座り込んだ。
そしていつものように花を摘んで、母に教わった通り器用に冠を編んでいく。
「リューイが、護衛の騎士になってくれる日が……私とっても楽しみ」
白い花で編まれた花冠。
金色の髪が春の風に靡く。
振り返って、ニコリと笑った少女が手を差し伸べる。
「約束だよ」
「………………─────」
「リューイが私のこと───」
「──守るよ」
少女の深緑の瞳が揺れる。
そして、優しく微笑む。
そう……
それは
2人の約束──────