この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第12章 恋慕

翌日
ルシアは森の前でソワソワとしていた。
どうしても母を喜ばせたいという気持ちと森の中が怖いという2つの気持ちがないまぜになって困惑している。
行くべきか……
ギュッと目を瞑ったルシアは、ふぅと息を吐いたあと覚悟を決めて前を見据える。
そして、ちょうど庭に着いたリューイは、ルシアがいつになく神妙な面持ちをしていることに首を傾げ、近付く。
いつもなら、すぐに気付くルシアが気付かない。
痺れを切らしたリューイは後ろからルシアの手首を掴んだ。
「っ……りゅ、リューイ」
ようやく気付いて振り返ったルシアの不安そうな表情に、リューイは眉を寄せる。
「……どうか…した……?」
「い、いや……」
言い淀むルシアに、リューイはさらに距離を詰めて顔を覗き込む。
何かがおかしい。
不思議に思っていると、ルシアは当然リューイに抱き付いた。
「なっ……ちょっ…ルシア…っ」
顔を赤らめた戸惑うリューイに、「あのね…」とルシアが声を掛ける。
「森へ行きたいの」
「森へ………?」
「うん………」
森には危険な生き物が住んでいると昔から教わってきた。
「森はダメだよ」
「でも……お母様の好きなお花が咲いててね……私どうしても取りに行きたいの」

