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† 姫と剣 †
第12章 恋慕



その時のシャロンのことを思い出しながら、ルシアは、また雲を追いながら、ふふと笑った。




「まさか…シャロンがあんなことを言ってくれるだなんて思わなかったわね」




あの時、困る父の前で、シャロンは物怖じすることなくルシアの前に駆け寄って手をぎゅっと握った。




────────────── お姉さま、姫という立場に未練は?




幼いシャロンから発せられた言葉とは思えず、ルシアはとっさに、え?と声を上げて首を傾げたのを覚えている。




────────────── 大丈夫よ。お父様、お姉様。私がこの国の女王となるわ。だからお姉様は…リューイと…




シャロンはそう言いながら、ルシアの背後で葛藤を続けるリューイを見た。




「シャロン様は…人の心が読めるのですかね」




その時、何もかもを見抜いたようにシャロンに微笑まれたのをリューイは思い出す。




────────────── もうお姉さまたちが、我慢するはおわりにしましょう?ね?お父様。





「さぁ…。でも、本当、あの時シャロンは…私なんかよりも何倍もこのローハーグに必要な、姫だって感じたわ」




結局、シャロンの進言通り、ルシアは王位を放棄し、リューイとともに生きることを選んだ。



立ち上がったリューイは、ルシアのそばに寄る。




「あなたも聡明で、強く、立派で…民に必要とされている姫、です」




そう言いながら、寝そべるルシアに手を差し伸べた。


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