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† 姫と剣 †
第12章 恋慕



体を起こしたルシアは、差し出された手を握る。



それに合わせるようにリューイが「でも…」と言葉を続けた。




「ローハーグの民よりも、私の方が…あなたを必要としていることを本当に申し訳なく思っています」



「─────────…」



「責任を取って……必ずあなたを幸せにします」




リューイに引っ張られて立ち上がったルシアは、そのままリューイの胸に飛び込む。



それと共にドッドッドと心臓が高鳴るのを感じた。




「…らしくないこと…いうのね」




今まで、頑なに気持ちを語らなかったリューイから、そんなことを言われるとどうしてよいか分からない。



顔を紅らめるルシアの頬を両手で包み込むようにして、添えたリューイは切なげにルシアを見つめる。




「らしくない…ですかね」



「だって…私が好きよって言っても、リューイは無言か、『ルシア様と私は、姫と騎士です』とか何とか言っていつも逃げてたのに、そんな…突然…っ」


「逃げていたわけでは…」


「逃げてたわよ!」




先ほどまで顔を紅らめていたルシアが今度はムッとしているのを見て、リューイの胸がくすぐられる。




「ちょっと、リューイ、聞いて───」



「───────────…」





少し強引に塞がれた唇。


そのせいで、些細ではあったがルシアの中で不満が吹き飛ぶ。


やはり、まだ言葉が足らないのに、こんなことをしてくるのはずるい…


そんなことを思いながらルシアは目を閉じてキスに応えると、頬に突然ヒヤリとした感覚が走った。



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