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† 姫と剣 †
第12章 恋慕

次第にそれは数を増やし、強くなる。
唇を離したルシアとリューイは、天を見上げた。
「雨……?」
「強くなりそうだ」
前にもこの会話をした。
自分の身を隠して、ルシアはお忍びで街へ繰り出し……
そしてリューイに出会った。
「行きましょう」
手を掴んだリューイは、あの時と同じように駆け出す。
ルシアは身を雨で濡らしながら、リューイの後をついていった。
向かう先は同じようにリューイの家だろう。
案の定見えてきた、こじんまりとした家に、ルシアの笑みが溢れる。
あの日以来、久しぶりだ。
まさか、また来られるとは思っていなかった。
あの時とは違う緊張を感じながら、ルシアはリューイに導かれるまま部屋に入ると辺りを見回した。
「あと少しで明け渡すつもりだったんですが…その前で良かったです」
「………明け渡すってこのおうちを?なんで?」
「護衛の仕事をしていれば家も必要ないと思ったので」
「少し、事情が変わってしまいましたが」と言いながら、リューイはあの日と同じようにルシアにタオルを差し出し、暖炉へ向かった。

