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† 姫と剣 †
第12章 恋慕

笑っているルシアを見て、今度はリューイが不機嫌そうにふん…と息を吐いて項垂れた。
「何を笑っているんですか……」
「だって」
「…………あまりいじめないでください」
リューイの言葉に、「違うの」と言ってルシアがマグカップを床に置いた。
「私……自分に嫉妬して馬鹿みたいだなって」
「………………」
「長い時を経て、出会うはずもなかったこの街で偶然再会して…しかも私の正体を知らずともリューイが私のことを好きになってくれたって……素敵なことだし、喜ぶことよね」
幸せそうにニコリと笑ったルシアを見て、リューイは真剣な顔をしながら、ルシアの頬をそっと触れた。
「……あの気持ちは…無意味じゃなかった」
以前はこの暖炉の前で2人は切なく苦しい気持ちに耐えていた。
もう会えなくなる。だから、今抱いている気持ちが無意味なものだと思って───…
目を瞑ったルシアの唇をリューイはゆっくりと塞ぐ。
パチパチと、薪が燃える音が2人の耳をくすぐった。
「ルシア……」
名前を呼ばれただけで、ビクりとルシアの体が震える。
この上ない幸福感で飛んでしまいそうなほど身が軽く感じた。
リューイに合わせてルシアは、少し口を開くと、リューイがはぁ…とため息のように深く息を吐いた。
「もう少し…開いて」
「んっ……はぁっ…」
言われるがままさらに口を開くと、リューイがゆっくりとルシアの口内に舌を滑り込ませて、同じくルシアの舌を絡め取った。

