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† 姫と剣 †
第12章 恋慕



「っ………っっ………」




あまりの気持ち良さにルシアの震えが止まらない。



はじめてのリューイとの深いキスにのめり込みながら、息が出来ずに心地よい苦しさが駆け巡る。




「はぁ……っ……」




リューイは、唇を離すと目を瞑ったまま額と額を合わせ、口を引き結んだ。


そんなリューイの様子をルシアは目を潤ませながら見つめる。




「………リューイ…?」


「……………はい…」


「どうしたの……?」




「いや…」と言いながら、リューイはゆっくりと目を開く。



目の前の少し上気したルシアの頬と、潤んだ深緑の瞳にゴクりと唾を飲むと、はぁとため息をついて項垂れた。


らしくないリューイの姿に、さっきから締め付けられるように胸が苦しい。




「……暴走しそうで…抑えています」



「え……?」



「正直……ここまでだとは思っておらず」




そう言いながら、リューイは片手で顔を覆うとルシアでも分かるほど顔を紅くさせた。





「ここまでって……?」




普段あまり言葉を発さない、さらには表情にも出さないリューイが、真逆な状況に、やはりルシアは胸を高鳴らせてしまう。



そして、分かっていながらわざと言葉を欲する。




「深くキスをしただけで…体がどうにかなってしまいそうで……制御が効かず」



「………うん」



「あなたを傷付けそうです」





切なげに再びため息をついて視線を落としたリューイに、ルシアは愛しい気持ちが溢れた。



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