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† 姫と剣 †
第12章 恋慕



ふっと自嘲気味に笑ったリューイに、ルシアは顔を紅らめながら少し怒ったような顔をしてリューイの手をギュッと握った。




「だ、だから何っ……!」


「………何…ということはなく、男だからそういう事も考えているという事を──」


「────私は女だけどっ……でもリューイと同じこと考えてる……! いや、もっとそれ以上のすごいことを考えているからっ…」




謎の競争心を見せるルシアに、リューイは目を丸くさせた後、緩く微笑んでルシアを優しく抱き寄せた。




「すごいこと……ですか」


「そう、よ」


「例えばどんな……?」


「どんなって……っ」




困ったルシアの顔がリューイの胸をくすぐる。




「………困らせて楽しんでるのね」


「いえ…決してそういうわけでは」


「口元、緩んでるわよ」




ルシアに指摘されて、リューイはギュッと口を噤んだ。



そして、ルシアはハァとため息を吐くと、意を決したように強くリューイを見た。



「とにかくっ……! あなたが暴走したって怖くないし、仮に少し乱暴になったとしても、それくらい想ってくれているって感じることが出来て…むしろ嬉しいと思うし…っ…。それに私だってあなたと……もっと近付きたいのっ……」



「─────────…」



黙ったままのリューイに、ルシアはムッと顔をしかめる。




「あなたこそ、分かってないわ」


「何を……ですか」


「私はリューイが好きなのっ……! 何度も言っているでしょ!」




確かに、リューイが何度も聞いた言葉だった。


今までは、その言葉を聞くたびに胸が弾んで、嬉しいという気持ちと思うのと同時に、応えることが出来ぬ状況に苦しくなった。


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