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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀
ふふふと笑ったマリーは、そのままルシアに背を向けて、奥へと歩いていく。
「もう少し堂々となさい」
「は、い……」
「今日は各国の要人があなたを一眼見ようと集まっている。王女が大したことないと思われたら、あなたの代で戦争が絶えなくなるかもしれないわよ」
高らかに笑ったマリーの背中をルシアは目を細めて眺める。
腹違いとはいえ、父とはあまり似ていない。
ルシアは小さく、はい、とだけ答える。
やはり掴めなくて、親戚なのに気が張ってしまう……
遠のくマリーの姿を見ながら、そんなことを思っていると、すぐにまた背後から足跡が聞こえて、ルシアは顔だけで振り返った。
「ルシア様!!こんなところにいらっしゃったのですね!」
「マヤ……」
「そろそろ準備なさらないと!!」
ギュッとマヤに手を掴まれたルシアはバランスを崩す。
そして、雨の日リューイに手を掴まれた記憶が重なって、頭を振った。
「ルシア様見つかりました!!」
勢いよく部屋の扉を上げると、マヤは大きな声で叫ぶ。
それに合わせて部屋の中にいた侍女たち全員がホッと息をつく。
さあさあと、マヤはルシアを引っ張ると、皆の中央にルシアを立たせた。
「あ、あの…」
「さぁ姫さま!今日のための衣装に着替えて! 今日は各国の要人もいらっしゃるしうんと素敵にしないと!」
「ほんとほんと! 今日いらっしゃるどこかの国の王子と将来ご結婚なさる、なんてこともあるかもしれませんし!」
呆れるルシアの前で侍女たちはキャーキャーと言いながら、ルシアをめかしこませていた。