この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
「だから……戻れないわ……」
その言葉を受け取ったシャロンは、すぐに、ふふふと笑うと、マヤの方を見た。
「ね、言ったでしょ? お姉さまは絶対に戻らないって」
「そんなぁ……」
「大丈夫よ。お姉様」
予想外の反応に、「へ?」とルシアが声を上げるとシャロンは腰に手を当てた。
「私もお父様もお姉さまがそう仰るだろうなって、わかっていたから」
「………そ、そう」
「それに、私が立派に女王になってこのローハーグを治めますから、安心して」
やはり、ペラペラと話す様から、シャロンの年齢を忘れてしまいそうになる。
きっとこの器量があれば、シャロンが言う通り、ローハーグは大丈夫だ。
「でも、たまに助けて下さいね? お姉さまの知見やお考えをお聞きしたい時もきっとありますから」
「もちろんよ」
嬉しくなって、思わずシャロンを抱き締める。
また背が伸びた。
いちいちシャロンの成長を感じながら、愛おしい気持ちでルシアの胸はいっぱいになった。
「あ、そう、あと…もう一つ大切なことが……」
「なに……?」
「あの、今ローハーグに─────」
「────── ルシア姫お久しぶりです」
大きな人影に、聞き覚えのある声。
ハッとしたのと同時に、咄嗟にリューイが木剣をその人物に向けたのが見えた。