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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
「私はこのローハーグという国にとても惹かれました」
「王子……」
「最初は、その豊富な資源、強大な軍事力が魅力に思えていましたが、そこに生きるローハーグの民自身の強さと明るさ……何より、心惹かれたあなたを育てたこの地に魅力を感じたのです」
そう言って、ロイはルシアの頬を優しく触れた。
愛しい女性───…
美しく、聡明で、凛とした力強さを兼ね備えながらも、
たまにまるで子どものように可愛らしい反応を見せる、唯一の……
「父を説得したのです。今後のアノアのためにも、ローハーグとの同盟は必須、と」
「そうだったんですね……」
「貿易も盛んになることでしょう。そうすれば、あなたにいつでもサワンを食べていただける」
「確かに…」と呟いたルシアは、再びロイを見上げる。
「私も…アノアのあの陽気で色鮮やかな文化が本当に好きで……。同盟を結ぶべき国だと思っていました」
「だから…」と言葉を続けたルシアは満面の笑みを向ける。
「本当に、ありがとうございます」
「───────…」
輝かしいルシアの笑みに、ロイは少しだけ顔を紅くさせると、思わずルシアに顔を近付けキスを……
落とそうとしたところで、木剣の先が突然目の前に現れて動きを止めた。
「あまり調子に乗るな」
片眉を上げたリューイの姿に、ロイはルシアから離れる。
するとリューイはすかさずロイとルシアの間に立って、ロイのことをじっと見つめた。