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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
明るい茶色い目が、闘志で燃えているのが分かる。
その背後で、ルシアが、「リューイっ…」と心配そうに声を掛けている。
「お前は遠目で姫を見つめながら、ウジウジと考え込むのが好きなのだと思っていたが……もうそれはやめたのか?」
挑発的なロイの言葉に、リューイはそばで拾い上げた木剣をロイに差し出した。
「………なんだ」
「ずっと、俺と戦いたがっていただろう」
リューイの鋭い視線にロイの額に汗が流れる。
「………どうした」
なかなか木剣を掴まないロイに、今度はリューイが少し挑発的に声を掛ける。
「木剣が不安ならお前だけ真剣にしろ。勝敗に影響はないから俺はそれでも構わない」
止まらないリューイの挑発に、ピクりとロイの額に青筋が浮かんだ。
だが、何とか気持ちを沈めて冷静さを保つロイは、少し悔しそうにしながら、力を逃すようにして、「ふぅ」と息を吐いた。
「………やめておく」
「…………………」
「ローハーグで1番の騎士とサシでやり合おうなんて、そんなに俺もバカじゃ────」
「───────じゃあ俺とやろうよ!」
張り詰めた空気をぶち壊すように、ロイの背後から勢いよく馬で近付いてきたウィルに、ロイもリューイもハッと息を飲む。
危険だ…───────
反射で真剣を抜いたロイとリューイは、馬から飛び降りたウィルに向かってすかさず、剣を突きつけた。