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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
一瞬の動きに、ルシアも周りにいた子どもたちも、シャロンたちも身を固める。
馬が巻き上げた土煙の中、シンと静まり返ったかと思うと、「ハハハ」と呑気な笑い声が響いた。
もちろん、それは紛れもなくウィルの笑い声なのだが、2人から剣を突きつけられているウィルはこの状況で一番笑うのにおかしな人物だ。
「どうして俺には問答無用で真剣を使うの?」
「────反射ですよ。本能レベルで危険だと体が勝手に判断してるんです」
弟の言葉に、ウィルはケタケタと笑いながら、「なるほどね」と呟いた。
「ちょ、ちょっと…っ……。お二人とも周りに子どもがいるのに危ないじゃないですか!」
呆然としていたルシアも合わせててリューイとロイを止めに入る。
そして、2人が剣を納めると、ウィルはルシアのことをじっと見て笑った。
「さらに色っぽくなったね、ルシア姫」
「えっ……」
思わず顔を紅らめると、ウィルがふっと笑う。
「男を知った顔だ……」
「なっ……ちょっとウィル王子! こんなところで変なこと言わないで下さい!」
焦るルシアの隣でリューイも少し頬を紅らめながら、ぽりぽりと頬を掻く。
そんな2人の様子を見ながらロイは、面白くなさそうにため息を吐いていると、今度はアノア第一王子のイーサが、「おい」と声を掛け、馬から降りた。