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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
兄弟3人の来訪に、ルシアは目を見開く。
まさかここでこの3人と再び会うとは思っても見なかった。
「せっかく同盟を組めたというのに……お前たちの不始末で反故になったらどうするつもりだ」
イーサはいつも通り、誰よりも冷静な様子でロイとウィルを諌める。
言い訳をしたそうにするロイだが、ここはひとまずグッと言葉を飲み込んだ。
「ルシア姫、弟たちがまた失礼を───」
「い、いえ、全然っ……! それに、私はもう姫ではありませんのでそんな…」
恐縮するルシアをじっと見つめると、イーサは背後に司令を出す。
すると後ろで控えていた使いのものが、大きな袋を持ってそれをイーサとルシアの間に置いた。
「あ、あの……これは」
「サワンです」とロイが答える。
すると、ルシアは「え」と声を上げて目の前の袋を見つめた。
袋はかなり大きい。となると、結構な量のサワンが入っているんだろう。
「そんなっ……何度もお伝えしている通り私はもう王位を放棄した身ですから…そんなお気遣いなさらず」
「いいえ、小国アノアがこの強大な国ローハーグと同盟を結べたのは、ルシア姫のお蔭ですから」
「私は、何もしていないです…」
むしろ、一度婚約を了承したにも関わらず、後から断るなどと、失礼なことをした。
そんな負い目から、ルシアは恐縮するが、アノア勢は、第一王子イーサが頭を下げたのに合わせ、皆が一斉に頭を下げた。