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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
「心から感謝申し上げます」
「………そんな……」
困ったルシアは、しばらくして観念して「ありがとうございます」と声をかける。
そして、頭を下げたルシアは、そのあとチラとリューイの方を見つめる。
2人は目を合わせると、フッと笑った。
そんな2人の柔らかな笑みにその場に皆が釘付けになった。
互いに、どんな時よりも
輝く眩しい笑顔────…
ロイは2人の様子に、少し切なく笑ったあと、軽く会釈をした。
「では……」
「……もう、行かれるのですか?」
「えぇ、今日国に帰らなくてはなりませんので」
「そうですか」と返事したルシアの隣でリューイが立っている。
ふっと笑ったロイは、リューイに近付くと、リューイの肩を掴んで耳元で囁く。
「……………いい加減、負けを認めるよ」
「─────────…」
嫌味や嫌がらせを覚悟していたリューイは肩透かしに合う。
ニコリとリューイに笑いかけたロイは、首を傾げるルシアの方を見て、「では」と声を掛けると、そのまま振り返ることもなくその場を颯爽と後にした。
まるで嵐のような出来事。
その背中を見えなくなるまでじっと見つめたルシアとリューイは、肩を寄せ合う。
「と、いうわけで…私もそろそろ宮殿に戻ります」
そう言ってシャロンも足速に街から戻っていく。
スタスタと歩くシャロンに、行き同様マヤとアマンダが辛そうにしながらついていっている。
その様子に、ふっと笑ったルシアは、手を振り終えると、リューイと一緒に先程もらったサワンを子どもたちに配っていた。