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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀
ルシアの視線の先にある剣を見て、マヤは緩く微笑む。
「ルシア様。今日は……いえ、今日以降は剣をお持ちにならなくて大丈夫ですよ」
「落ち着かないわね」
「今日から、護衛がつきますから」
「………そんなもの必要ないのに」
自分の身は自分で守るもの。
ルシアはそれを信念に、書物を読み漁り知識をつけ、剣技に関しても鍛錬を積んできたのだ。
「このローハーグの姫なのですから、大切にお守りしなくては──」
「だからこそ、他のものに命を預けるのは違うと思うけども」
キッパリと言い切ったルシアに、マヤはハハハと誤魔化すように笑う。
「まぁ今日は、今まで以上に厳重な警備ですし、剣は必要ありませんから。ね。」
マヤの言葉にルシアははぁ、とため息をつく。
お忍びとは言え、この前まで街を歩き回っていたと言うのに……。
「護衛の騎士と勝負して、私が勝ったら、外してもらうようにお父様へ頼むわ」
「ルシア様……」
マヤは呆れながら、扉を開く。
差し迫る成人の儀。
少し空気が重く緊張が張り詰める。
それとは打って変わって、外からはルシアを祝うように、歓声が上がっているのが聞こえていた。