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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

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祝典式場が、静寂に包まれる。
一同は、その中心にいるルシアを見つめている。
ルシアは皆に見られていることに全く動じることなく両手を合わせると、自分の目の前に立つ人物を見つめた。
立派な白い髭に、大きな身体。
頭上には王冠が輝く。
もちろんこの人物はルシアの父、つまりはこのローハーグ王国の王
アルノ=ウィス=ローハーグ、である。
父の前で、ルシアは目を瞑り、ゆっくりと屈んだ。
その様子にうむ、と頷いた王は、使いによって運ばれたティアラを掴み、ルシアの前へ掲げる。
「ルシア=ウェルズ=ローハーグ……」
「はい」
「本日、そなたが成人となる齢を迎えるのと同時に、このローハーグ王国の正式な王位後継者とす────」
授けられたティアラが外の光を反射して光る。
のし掛かったティアラ以上の重みにルシアは、目を開いて再び父を見つめる。
「ありがとうございます」
「………国のために生きよ」
「はい」
返事をしたルシアは体を反転させ、皆の方を向く。
静まり返っていた人々はそれを見て、一斉に声を上げた。
ルシアはそれに少し驚いたあと、すぐに微笑む。
そしてしばらくすると、王が皆の方を見て片手を掲げる。
それと同時に再び場が静まると、王は軽く咳払いをした。

