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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

「本日から、王家の習わし通り、ルシアに専属の護衛を付ける」
王はそう皆に知らせると、「前へ」と言いながら民衆の脇に目をやった。
皆が王の視線を追う。
成人の儀を迎えた王族……特に姫には専任の護衛をつけるのがローハーグ王家の習わしであることは、ルシアも理解している。
だが、剣技を極めたルシアにとってそれはさらに自由を奪う存在、としか思えないでいる。
先ほどマヤにも言った通り、不要であれば外してもらうように頼もう…そんなことを思いながら、ルシアも皆と同様に王の視線の先を見た。
そして、目に入った騎士の姿に息を飲んだ。
亜麻色の髪は後ろに括られている。
背は高く、髪の合間から明るく茶色い瞳が鋭く光る────
「リューイ=ランドルト」
王にそう呼ばれた彼は、すかさず王の前で跪いた。
王は運ばれた大剣を両手で掴み、それをリューイに差し出す。
「この剣をそなたに授ける」
「は」
姫専属の護衛の騎士。
それは、厳正に審査され、この国で1番強いとされる騎士が得られる特別任務である。
その騎士の証である剣をリューイが掴んだのを見て、王の瞳に微かに憂いが映る。
「結局…ランドルト家……か」
「…………」
リューイはその言葉を聞きながら、後ろへと下がった。

