この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

廊下に立ち止まったままのルシアに周りが困り果てる。
「ルシア様…? 宴に向けて準備を──」
「─────良かった…っ……もう一生会えないかと」
俯きながらポロポロと涙を流すルシアに周りは息を飲む。
しかし、その中でリューイは表情ひとつ変えずにルシアの手を振り解いた。
「姫、準備を。周りが困っています」
他人行儀なリューイの様子にルシアはハッとして顔を上げる。
絡み合う視線。
ルシアは熱くたぎっている胸に手を当てるとギュッと拳を握った。
今は周りに人もいる。
お忍びで街へ行っていたのは、マヤしか知らないこと、だ。
あとで……二人になれる時にまた話そう。
そう心の中で呟いたルシアは涙を拭うと、侍女たちにごめんなさいと声を掛けて部屋へと向かった。
もちろん着替えの部屋には入らず、扉の前で足を止めたリューイを、ルシアはチラと見る。
そしてそのまま自身は部屋へと入っていった。
リューイは扉が閉まったことを確認すると、脱力するようにして壁に寄りかかった。
そして、天井を見つめるとふぅーと息を吐いていた。

