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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀


廊下に立ち止まったままのルシアに周りが困り果てる。



「ルシア様…? 宴に向けて準備を──」


「─────良かった…っ……もう一生会えないかと」



俯きながらポロポロと涙を流すルシアに周りは息を飲む。


しかし、その中でリューイは表情ひとつ変えずにルシアの手を振り解いた。




「姫、準備を。周りが困っています」



他人行儀なリューイの様子にルシアはハッとして顔を上げる。


絡み合う視線。


ルシアは熱くたぎっている胸に手を当てるとギュッと拳を握った。


今は周りに人もいる。


お忍びで街へ行っていたのは、マヤしか知らないこと、だ。


あとで……二人になれる時にまた話そう。


そう心の中で呟いたルシアは涙を拭うと、侍女たちにごめんなさいと声を掛けて部屋へと向かった。


もちろん着替えの部屋には入らず、扉の前で足を止めたリューイを、ルシアはチラと見る。


そしてそのまま自身は部屋へと入っていった。


リューイは扉が閉まったことを確認すると、脱力するようにして壁に寄りかかった。


そして、天井を見つめるとふぅーと息を吐いていた。







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