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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀


「そんな話……聞いたことないわ。王族につく護衛は、審査によって選ばれるもので、世襲なんかではないでしょ?」



ルシアの言葉に、確かに、と言わんばかりのアマンダの隣で別の侍女が口を開く。



「審査をするまでもなくランドルト家のものが1番強く、そして何より信頼されていたんじゃないでしょうか」


「…………」


「私も、昔のことは分かりませんが……。今回リューイ=ランドルトが選ばれた時も、『やっぱりランドルト家か』ていう声、よく街で聞きましたし」


「そう……なのね」


「つまり、王妃様にお仕えしていたのは、リューイの父君なのかしら?」



マヤの言葉に、アマンダがコクリと頷く。



「確か、そうだという話を聞いたかと……」



ルシアの母の護衛の騎士はリューイの父………


近衛の騎士の任を退いたのは、単純にルシアの母が亡くなったから、なのか。


母の記憶がないルシアは、当然リューイの父の記憶もない。


それに少し違和感を持ちながらも、今は自分の護衛がリューイであったことの方に驚きを隠せないでいた。


支度もあと少しとなった中、突然扉が開いて、足音がすると、周りの侍女がハッと息を飲んだ。



「お姉さまぁ〜〜!」



可愛らしい明るい声に、ルシアは思わず微笑みながら顔を向ける。



「シャロン…どうしたの?」



ローハーグ家のもう一人の姫。


11歳になるルシアの妹、シャロンは満面の笑みを見せてルシアを見つめた。


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