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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

シャロンは手一杯の花をルシアに差し出す。
「お誕生日おめでとうございます!」
「…………シャロン…」
ルシアはそれを受け取ってじっと花それぞれを見つめた。
成人の儀ばっかりが先行していて、誕生日だという意識がなかった。
王位継承権を得たこと、成人の儀を終えたことに対する祝福ではなく、誕生日自体におめでとうと言ってくれたシャロンに、ルシアは胸が熱くなった。
「嬉しい…ありがとう」
へへへとシャロンは得意気に笑う。
「お庭にたくさん咲いてたから、お姉様の儀式の前に摘んだの」
「そうなのね、本当に素敵」
「ルシア様、私花瓶に入れておきますね」
マヤがルシアから花束を受け取る。
そして、ルシアはシャロンの頭を撫でた。
ずいぶん背が伸びた。
もうそんなに身長も変わらなくなってきたし、頭を撫でるような年齢でもないかもしれない。
それでも、嬉しそうにしているシャロンが愛らしい。
「廊下にいたお姉さまの騎士も、お花を摘むの、手伝ってくれたのよ」
「……リューイ…が?」
そうそうとシャロンは頷く。
「口数少ないし、つまらない人だけど、優しいみたい」
きっぱりそう言い切るシャロンにルシアは目を丸くしたあと、プッと吹き出して笑った。
「シャロン様も、宴のために準備なさらないと」
侍女にそう言われて、シャロンははいはい、と返事をするとではまたあとで、とルシアに声を掛けて部屋を出て行った。

