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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

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淡いピンクのドレスを身に纏いながら、ルシアはマヤに渡されたグローブをはめる。
コルセットによってキツく腰を締め付けられたため、少し苦しいのを我慢しながら、重いドレスの裾を蹴るようにして歩く。
どうしてこんなに動きにくい服を着なくてはならないのか……。
これから、宴の会場まで移動して、笑顔を振り撒き、したくもない会話をし、踊りたくもない相手と踊らなければなければならないと思うととても気が重い。
「さぁ、ルシア様」
マヤに導かれるままルシアは部屋を出る。
すると、長い間待っていたリューイが床から立ち上がったのが見えた。
「……おま…た…せ」
ぎこちなく言葉を詰まらせるルシアの姿を見て、リューイは少しだけ固まったあと、すぐさまその場に跪いた。
「いえ」
どう思われているのか。
それが気になって気になって、ほんのりとルシアの顔が赤らむ。
しかし、リューイは頭を下げたままで表情が見えない。
たとえ見えたとしても、リューイはあまり表情に出さないので何を思っているのかは分からない。
もどかしい気持ちを抱えながら、ルシアは会場へ向かう。
早く終わらせて、早くリューイと二人きりで話をしたい──
ひたすらそれだけを思いながら、ルシアは歩いていた。

