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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

「ルシア=ウェルズ=ローハーグ……、各国が狙う強大国の謎多き姫、か」
「大層美人なお方だとか。王子にピッタリですね! ついでに同盟も組めて…」
分かりやすく持ち上げるセスにロイは嫌気が刺した。
そもそも第3王子としての気ままな生活が気に入っているロイにとって、公務ほど嫌いなものはないのだ。
過ごしやすい我が国で好きなことをして好きなように暮らす。
第3王子ともなれば、背負うものも少ない、とロイ本人が思っているのだ。
「ロイ王子、ルシア様がいらっしゃったようです」
「ほぅ、どれどれ」
ルシアが来たことが会場全体に知らされると、さっきまで以上に上品かつ陽気な音楽が鳴り響く。
そして、ルシアを一目見ようと皆が体を乗り出している。
ロイは、新しい酒を探しながら、そのままの流れで遠くに現れたルシアを捉えた。
金色の長い髪にスラッとした出立ち。
「遠すぎて、美人かどうかまでは分からんな」
ロイはそれだけ言うと、興味ないとばかりに、ふらふらと辺りを歩き出す。
「ロイ王子っ……! 王子もアノア代表としてぜひご挨拶に」
「どうせ今行けないだろ」
ルシアの周りに人だかりが出来ているのを手の平でさすと、ロイはバルコニーの方へと向かう。
「ちょっ……ロイ王子っ…!」
「もう少し姫が空いたら行くとするよ。それまで外で少し休む」
「休むって…今始まったところですのに」
困ってるセスを尻目にロイは適当にその辺りに置いてあった酒を掴みバルコニーへと向かった。

