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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀

「父の代わりにこの私がアノア代表としてご挨拶に、と。本日は、おめでとうございます」
「………ありがとう…ございます」
突然礼儀正しく挨拶をするロイに、リューイは目を細めると、ゆっくりと剣から手を離した。
「主役が、なぜこんなところへ?」
「少し……休憩を、と」
「そうでしたか。これだけの人に一気に囲まれると疲れるのも当然です」
ニコリと微笑むロイに、ルシアは少し気まずそうにハハハと笑う。
「ご一緒してもよろしいですか?」
「も、ちろん」
優しげに微笑むルシアのことを、ロイはゆっくりと見つめる。
夜でも分かる、深緑の瞳。
アノアの国の神は、緑の瞳をしているという言い伝えがある。
長く伸びる金髪もアノアでは珍しい。
確かに噂通りの美人だ、とそんなことを思っていると、ルシアがあの…と口を開く。
「アノア王国って、すごく珍しいフルーツが成るんですよね?」
「ええ。アノアにいらっしゃったことが?」
幼き頃からその姿を見せず、城の中に幽閉されているとまで噂のあったルシアの言葉に、ロイは驚きながら尋ねるが、ルシアは首を横に振った。
「本に書いてあったので。確か名前は『サワン』。アノアでしか成らないフルーツでとても高級。見た目はマンゴーに似ていて、味はとても甘いけども、成熟する前は酸味が強いので絞ったものを調味料としても使用する…んでしたっけ?」

