この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第2章 成人の儀
「リューイっ………」
「───────…」
ゆっくりと立ち上がったリューイに、ルシアは思わず抱き着く。
リューイは、それに驚いたように目を見開いたあと、グッと奥歯を噛んだ。
「会いたかったっ……。あのまま…もう会えないんじゃないかって…っ」
「姫……」
「身分を隠していてごめんなさい……。でもリューイへの気持ちに…嘘はないっ……」
「…………」
「私…あなたの事が……っ…好き…」
躊躇う事なく明確に気持ちを伝えたルシアは、リューイの両腕を掴んで顔を見上げた。
経験のないほど昂った気持ちはとめどなく溢れる。
視線が絡んで、あの時と同じようにお互いの顔がゆっくりと近付く。
抗えない想い───
目を瞑ったルシアの唇をリューイは、切なげに見つめる。
しばらくして、ルシアから目を背けたリューイは、そのままルシアから体を離す。
「……リューイ…っ」
「あの時は……」
俯いたリューイとルシアの目は合わない。
「あの時は、まさかルシア姫だとは思わず、大変失礼なことを致しました」
「そんなっ……何を言って──」
「───この罪は一生を掛けて償います」
リューイの言葉がルシアの胸を締め付ける。
「罪……?って何……?」
震えるルシアの瞳に涙が溜まる。
「……私は…ただの騎士。ルシア様は───」
「………………」
「このローハーグ王国の姫…です」
リューイの言葉に、ルシアの頬から、一筋の涙がこぼれ落ちた。