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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀


「リューイっ………」


「───────…」



ゆっくりと立ち上がったリューイに、ルシアは思わず抱き着く。


リューイは、それに驚いたように目を見開いたあと、グッと奥歯を噛んだ。




「会いたかったっ……。あのまま…もう会えないんじゃないかって…っ」


「姫……」


「身分を隠していてごめんなさい……。でもリューイへの気持ちに…嘘はないっ……」


「…………」


「私…あなたの事が……っ…好き…」




躊躇う事なく明確に気持ちを伝えたルシアは、リューイの両腕を掴んで顔を見上げた。


経験のないほど昂った気持ちはとめどなく溢れる。


視線が絡んで、あの時と同じようにお互いの顔がゆっくりと近付く。


抗えない想い───


目を瞑ったルシアの唇をリューイは、切なげに見つめる。


しばらくして、ルシアから目を背けたリューイは、そのままルシアから体を離す。



「……リューイ…っ」


「あの時は……」



俯いたリューイとルシアの目は合わない。




「あの時は、まさかルシア姫だとは思わず、大変失礼なことを致しました」


「そんなっ……何を言って──」


「───この罪は一生を掛けて償います」



リューイの言葉がルシアの胸を締め付ける。




「罪……?って何……?」



震えるルシアの瞳に涙が溜まる。



「……私は…ただの騎士。ルシア様は───」


「………………」


「このローハーグ王国の姫…です」



リューイの言葉に、ルシアの頬から、一筋の涙がこぼれ落ちた。


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