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† 姫と剣 †
第2章 成人の儀
「そんな事……分かってる」
ルシアの涙をリューイは静かに見つめた。
「でも…だからって……私とリューイが惹かれ合うことは…罪になるの……?」
「………………」
「そんなの……おかしいじゃないっ……」
頭で理解出来ていても、心が追いつかない。
元々、自分の立場からしてどうにもならないことはルシアも分かっていたはずなのに、リューイに改めて言われたことでさらに打ちのめされてしまう。
再びその場に跪いたリューイをルシアは涙を流しながら見つめる。
「あれは私の過ちです。ルシア姫は何も悪くありません」
罪。
過ち。
ただ一人の女性として、一人の男性に惹かれただけだというのに、まるで悪行のような表象に、ルシアは戸惑いを隠せない。
「一生、この命をかけて姫を────」
「─────騎士だとか、姫だとか、そういう話をしたいわけじゃない…っ……。私のために命だってかけてくれなくていいっ…」
跪くリューイの前に、ルシアは脱力するようにして床にへたれ込む。
「あなた自身は……私自身をどう…見ているの?」
「……………それを聞いて…どうなさるんですか?」
リューイの質問に、ルシアはうまく答えられずに固まる。
立場を抜きにした想いを聞いて、もし望んだ言葉が聞けたとしても、どうすることもできない。
さらにその立場を呪うだけの話…だ。