この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第3章 決闘
結ばれることが許されないというのに、傍にずっとい続けるだなんて、そんな拷問には耐えられない────
自分だけでなく、リューイだっていずれは他の女と結婚をし家族を設けるだろう。
想像しただけでルシアの胸は引き裂かれそうになる。
運命のいたずらに抗うべく、ルシアはリューイに剣を向けている。
ひたすらにルシアの攻撃を受けるのみで、反撃をしないリューイに、ルシアはぐっと歯を食いしばる。
「姫、おやめください」
「やめない…っ…」
「失礼ながら、姫が私に敵うはずがありません」
交差する2つの剣。
ルシアは力一杯それを弾いて、体勢を立て直す。
「そんなの、やってみなきゃ分からないでしょ……っ…」
ルシアは肩で息をしながら、リューイを切なげに見つめる。
この恋を……リューイを忘れる必要があるというのなら、離れて欲しい───
でなければ、この気持ちに踏ん切りがつかない。
立て直したルシアが再び向かってくる様子を見て、リューイはギュッと唇を噛む。
ヒュッと木剣が風を切る音が響く。
リューイは、ルシアのこの一撃を避け、ルシアの真横に立つと、そのまま足でルシアの足を引っ掛けた。
「──────……っ…」
そのまま、ルシアの剣が反動で手から離れるのと同時に、ルシアが後ろへ倒れ込む。
負けてしまう────
頭上で舞う剣がゆっくりと動いて見える。
再び体勢を整えようと試みるがもはやそれには遅い。
リューイは、宙で舞うルシアの剣を素早く掴み取ると、そのまま倒れ込むルシアの背中をしゃがみ込む形で支え、ルシアの顔の横に、剣を突き刺した。