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† 姫と剣 †
第3章 決闘


ルシアは、リューイに抱えられながら、息を整える。


明らかな敗北に、口をギュッと噤ぎながら、顔を覗き込んでくるリューイを見つめ返す。



「これで……文句はありませんか」


「っ…………」


「姫はお強い。ですが…男の私に敵うはずがありません」



リューイは、そう言いながら躊躇いがちにルシアの片手を握る。



「お願いですから……私に姫を…守らせてください」



切なく囁かれた言葉に、ルシアの胸が高鳴る。


忘れたいのに、これではむしろさらに惹かれてしまう。



「それが『約束』ですから……」


「約束………」




リューイの言葉に、以前聞いた言葉が重なる。



──────────── 約束を果たすため…俺はもうすぐここを発つ



それは、誰と交わした、何の約束なのか。



「あの時……何故あなたと出会ってしまったの…」



あの日、街でリューイと出会わなければ…


ただの護衛として出会うだけだったはず。


興味本位で街に出掛けた自分が憎い。


ルシアは自分のそばに刺された剣のグリップを掴みながら、立ち上がる。


そして、地面に突き刺された剣を引き抜くと、それを再び振る。



「もっと……鍛錬しないと」


「いえ、姫は充分お強いです」


「でも今のままじゃあなたには勝てない」



リューイはゆっくりと立ち上がると、自身の剣を地面に突き刺した。



「あなたは身の程知らずです」


「……………」


「私は姫専属の護衛の騎士。つまりはこの王国一の騎士です」



キッパリと言い切るリューイに、ルシアの肩の力が抜けた。

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