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† 姫と剣 †
第3章 決闘


「何度も言いますが、姫が私に敵うはずが────」



突然、言葉を止めたリューイは、ルシアの背後の茂みに視線をやり、素早くルシアの盾となるように前は出る。



「っ…!? リューイ? どうし───」


「何者だ」



背中に背負っている大剣を抜いたリューイは、茂みに向かって声を掛ける。


カサカサと葉が擦れる事がすると、その茂みからひょこっと人が現れた。



「そんな物騒なものは締まってくれ」


「……あ、あなたは、確か…アノア王国の……ロイ王子」


「おぉ、ルシア姫、覚えていてくださいましたか」



そう言って笑ったロイは、まとっているマントのようなゆったりとした服についた葉を払い落とす。


リューイも、ロイの背後に誰もいないことを確認した後、剣を背中にしまい、跪いた。



「失礼いたしました」



謝るリューイに、フッと笑っただけで素通りしたロイはルシアのもとへと向かう。



「いやぁ、それにしてもルシア姫、華麗な剣捌き、惚れ惚れしました」


「っ……見ていらっしゃったのですか」



ルシアは俯くと、持っていた木剣を自分の背後へ隠す。




「普通の姫とは違う……益々あなたに興味が湧きましたよ」


「え……?」



ニコリと笑うロイをルシアはじっと見つめる。


昨日の闇夜の元とはまた違う。


ロイの髪の黒さと瞳の青が際立つ。




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